数年前、私は非常勤講師として学校に勤めていました。
非常勤講師とは、教師には変わりがありませんが、時間給や一コマ(一授業)ごとにお金が出る教師の仕事です。
基本的には正式に教員を目指している人や家庭の事情があって一日は働けないけれど教師として働きたい人が行います。
今日は非常勤講師について話していきたいと思います。
○給与面について
給与に関してはかなり自治体ごとに異なりますが、だいたい2,000円~3000円の間が相場ではないでしょうか。
土日休みのパートタイマーを想像されるかもしれませんが、長期休暇はまるまる仕事がなくなってしまうので給料が全く出ません。
どちらかというと年俸契約制を想像してくださるとわかりやすいかと思います。
また、交通費が出る場合もあります。
私がいた自治体では県から出るコマ数と市から出るコマ数に分かれていて、市から出る金額のコマ数が高い代わりに交通費が出ず、県からでるコマ数は安い代わりに交通費も出るという形でした。
給与明細も県と市で分かれていたように思います。
○仕事について
非常勤講師の仕事は基本的に授業を教えた分だけ給与が出ます。
なので、空いているコマは給与が出ないのが基本です。
この辺りも自治体によって変わってきますが、教材研究の時間も給与に含んでくれる場合もあります。
部活動などは見なくていいので、部活を見ずに授業だけ教えたい教師の方にはぴったりだと思います。
○他教師との関係について
教員間での人間関係に関してですが、基本的にはその学校によるとしか言えません。
非常勤講師は正式な教諭というわけではなく、教員採用試験に合格していない人間がなっているか教諭をやめた人がなっているものです。
そのため、教諭の人の人間性によっては見下されたり、バカにされたりという場合も多々あります。
正社員の中でもパート社員や派遣社員を見下す方がいらっしゃるときがありますよね。
それと一緒です。
もちろん、教諭の中には非常勤講師を通って教諭になった方も多くいますし、非常勤講師だからといって差別せず仲良くしてくださる場合も多くあります。
その辺りも普通の会社と同じ点かもしれません。
私はどちらの場合も経験しました。
馬鹿にされた場合というより異常な教諭と勤めた場合は生徒の目の前で非常勤講師なのだからわきまえろといわんばかりの叱責をされたこともあります。
担任の教諭の先生が目をかけていた生徒が非常勤講師の自分になついた場合は「あまり仲良くしないでください」と嫉妬や嫌味発言をされたりもします。
仲良くしていただいた場合は始業式の日に食事を奢ってもらったり、飲み会に誘ってもらったりなど普通の教諭と同じように接してくださった場合もありました。
この辺りは普通の会社と変わらないんだなと思います。
○生徒との関係について
非常勤講師はタイプが分かれます。
年間契約であまり学年にかかわることもないので教科にだけ重点を置いてさっさと帰る方もいますし、給料が出ないことを覚悟で教諭になったときに備えて生徒としっかりと関わっている方もいらっしゃいます。
私はどちらかというと後者で、生徒と授業時間外に喋ったり給食の時間なども教室に行ったりしながら生徒とよく喋っていました。
ただ、どんなに仲良くなったとしても修学旅行などは一緒には行けませんし、学校によっては体育会や文化祭も蚊帳の外です。
生徒としっかり信頼関係を築きたいという方はこの働き方は向いていないかもしれません。
ちなみに話から少し外れてしまいますが、生徒は教師が考えるより多くの物事を知っていますし、自分が学生の頃よりも多く物事を考えている子が多い印象です。
例えば非常勤講師と教諭の違いを普通の先生たちは隠したがりますが生徒はよく知っていて「先生は非常勤講師だから一年でいなくなるんでしょう?」と聞かれたりすることも多くあります。
そして、だいたい先生同士でいがみ合っているときは生徒はそれを見抜いて野次馬根性で話を聞きに来たりします。
子どもゆえとバカにできません。
○なぜ退職したのか
まず、非常勤講師という仕事は不安定です。
確かに今教員不足で登録すればすぐに仕事が入ってくる現状ですが、コマ数が少ない場合や時給も年ごとに変わってしまう場合も多くて賃金の変動が激しいです。
その上たとえ教諭になれたとしても、部活動などで確実に土日が潰れてしまう上に休みなんてありません。
夜はだいぶ早く帰れるようになりましたが、帰ることができない荒れた学校や教室に飛ばされてしまうと自分の時間なんて保証されません。
お金はその分もらえるかもしれませんが、使う時間がないお金を手に入れてもなぁと思います。
また、非常勤講師での働きで目標としていたはずの教諭の裏の顔を多く見てしまったのも一つです。
自分が派遣された学校が悪いのかもしれませんが少なくとも非正規雇用を見下し差別する教諭がいる現状で、その先生が生徒に差別はいけないことだと教えることは大きな矛盾しかないと思います。