学校・保育・教育の体験談

教師という職業のやりがいとブラックな現状

投稿日:2021年9月13日 更新日:

私は現在関西の中高一貫教育が売りの進学校の数学教師をしています。

私が数学の教師になろうと思ったのは、ある先生との出会いでずっと嫌いだった数学が好きになり、それからまじめに勉強をするようになった経験があったからです。

現在、勤務している母校で教職をするようになったのは5年前からで、それまでは公立中学校の数学教師をしておりました。

一般に中学校教諭になるには、中学校教諭1種(大卒程度)、2種(短大卒程度)、専修(大学院修士課程修了程度)免許状があり、私は教育機関において中学校教員養成課程を修了いたしました。

そして、普通免許状取得には地元の社会福祉施設で9日の介護も経験してきました。

それもこれも子供たちに数学を好きになってもらいたかったからです。

ただ母校の教師には、定員割れが長い間発生しておらず、ともかく子供たちに接するために方々の採用試験を受けまくりました。

公立の中学校に採用されるには、各都道府県や政令指定都市が実施する教員採用候補者選考試験に合格しなければならないのでけっこう大変でした。

そして晴れて受かった後も教員採用候補者名簿に登載されて、面接試験をこなさなければなりませんでした。

なかなか、手間暇がかかり一般企業への就活と大差ない感じがしました。

やはり、志を高く持っていないとクリアできない、希望通りの所で先生は出来ないなあと感じました。

一方、私立の場合は、独自に教員採用試験を行っており、私が母校に勤務できるようになるにはそれから数年かかりました。

中学校教諭は、国語、英語、数学など、特定の専門教科を教える流れになっていて、私は数学が担当でしたが、理科も教えることができました。

そして授業以外にも、3年目からはクラス担任を受け持つことになりました。

大学の時に体育会のテニスクラブに入って、インカレ等にも出場してきたこともあり、テニス部のコ-チ&顧問をいきなりすることになりました。

同僚には、全く経験したことのない競技のクラブの顧問に割り当てられる先生もおられるので、文句は言えるような状況ではありませんでした。

テニスコートでの指導は、私にとってはとても楽しいもので、充実した時間であったと思っています。

ただ中学生のグル-プ活動の指導者としいう側面では厳しいものがありました。

なによりそれにあてる時間帯が夕方であり、一般企業でいうと本来勤務以外の仕事ということになる位置づけでした。

それは平日だけの話ではなく、土曜日、日曜日にも同様のことがあります。

私の担当したテニス部では毎週日曜日、対外試合が近辺の中学校と組まれることが多く、その場合は朝から昼、そして夕方まで終日、そのイベントにかかりきりになるのです。

一般企業的に言うと、休日出勤ということになるのであるが、公立中学校の場合、「先日の日曜日、出勤しましたので、月曜日に振休を取ります」というのが自然な流れにはならないのです。

月曜日に先生が来ないと、子供たちは授業を受けられなくなってしまうから、当たり前なのですね。

そう思うと、私たちが教わった、あるいはお世話になった中学校の先生方は、大変しんどい労働環境、ブラック企業の下で働いていたのかと改めて感じました。

クラブ活動の指導はどこまで入れ込むかということは、クラブの顧問を任せられている教師にすると、本当に重要な問題ではあります。

まじめな先生ほど、その傾向は強いです。

そして、学校行事への参加、PTAの運営などは、ブラックといえばブラックの最たるものであるといえるでしょう。

クラブ活動の顧問の仕事は、生徒が成長してくれるし、五日、何年かしたら感謝されることもあるので報われることがあります。

学校行事への企画、PTAの運営については、大人が対象になるので、それらのイベントスタッフとしての働きを強く求められます。

「先生、本当にありがとうございます」なんてことをいう父兄は皆無です。

まあ例えると、若い教師は、放送業界の例で例えるとTV局本体以外の会社から派遣されているADのようなものになります。

TV局のデレクターに言われたら、なんでもするのがADですが、若い教師は何でもしなければなりません。

運動会の場合でいうと、最初の企画から、物品の買い出し、生徒の指導、生徒の練習、当日の運営、後かたずけ等で忙殺されます。

まさにその日は地獄です。

一般企業でいうと、終日拘束の強制ボランティアを求められるのです。

ただ同じ職場の先生方が、誰も文句言わず、ある人は熱く、ある人はそれなりに自分に割り当てられている強制ボランティアをこなされるので、声を上げないだけなのですね。

それもこれも辛抱できるのは、子供たちの人生における、ある年齢での道しるべになるという使命感が充足されるからなのですね。

ただそれだけで、長い期間、前向きな姿勢を維持するのは、限られた先生になり、多くの先生方は、上手に強弱をつけて仕事としての教師をこなすようになっています。

ある意味、普通の人間としての当然のことではないかと私は思っています。

 

1日の平均労働時間は10時間を超えることが多く、授業の準備やテストの採点など、自宅に持ち帰って仕事をすることもちょくちょくあります。

まあこれが残業にはならないのは、ブラックな民間企業と同じです。

ただこれは子供に直接関係する事柄なので、やらされ感はあまりありません。

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