・教員になった理由
私は、中学校で二年間国語の教師として勤務していました。
私が教師を目指すようになったのは、中学時代に出会った恩師の影響です。
その先生は、生徒の気持ちを理解してくれ、生徒とともに喜び、楽しみ、そしてたくさん相談に乗ってくれる先生でした。
また、私が自分自身でも気づいていなかった「書く」という特技を見つけてくれたのもその先生でした。
その先生がいたから、中学時代が楽しかった、最高だった、と言えると言っても過言ではありません。
その先生との出会いがあったからこそ今の私がいます。
私も教師になって子どもたちが最高な中学校生活を送るサポートをしたい、そして子どもたちの夢を後押ししたり、将来に悩んでいる子の力になりたいと思い、中学校の教師を目指すようになりました。
・教師になって
教師として働き始めた頃は、想像していたよりはるかに多い仕事量に驚きました。
教材研究や授業はもちろん、学年会議、全体会議、こんなに会議が多いんだ・・・という印象でした。
放課後は、補修、部活動の練習、下校指導があり、その後翌日の授業の準備をするという流れで、毎日3時間以上の残業が当たり前でした。
土日も部活動の練習や試合などで忙しく、休む間もなく休日が終わっていく日々でした。
毎日残業をしても残業代が出るわけではない上に、土日の部活動もボランティアのようなもので、教師という仕事は本当に過酷なものだと思いました。
教師として働き始めた頃は、そんな毎日に「辞めたい」と思うことも正直ありました。
・やりがい
「辞めたい」そう思っても辞めなかった理由はただ一つ。
教師という仕事が大好きだったからです。
過酷で時間にも余裕がない毎日でしたが、私は教壇に立って生徒たちに授業をすることが大好きでした。
正直、私は学生の頃はあまり勉強が得意ではありませんでした。
30人以上が一斉に授業を受けているクラスの中で、分からないことがあっても、手を挙げて質問することができませんでした。
すると、分からないことは分からないままどんどんと授業が進み、置いて行かれる一方でした。
そんな私の学生時代の経験から、「国語が苦手な子にもわかりやすい授業をしたい」「国語に対しての苦手意識をなくしてほしい」、そういう思いをもって授業作りに励んでいました。
私が教師になってはじめて受け持った学年は中学3年生でした。
国語が苦手だという子がとても多かったので、わかりやすい授業を心がけました。
そして分からないことは「分からない」と先生に言えるようになってほしいという思いで、ペンが止まっている子にはとにかく私から声をかけました。
生徒たちができるようになったことには「すごい!こんなにもできたじゃん!」と、たくさん良い面を褒めました。
そんなことを数カ月続けていると、「先生、最近好きな教科国語になったよ」「国語がわかるようになってきた」と言ってくれる生徒がでてきました。
また、「先生が出来てるじゃん!と言ってくれたから自信が持てるようになった」と言ってくれる生徒もいました。
高校受験が近づいてくると、高校受験を意識した授業作りに変更しました。
受験勉強で分からないことがあったら、授業外でもいつでも質問しに来てねと言うと、休憩時間ごとに、受験勉強の質問や相談にくる生徒がたくさんいました。
放課後は小論文、プレゼンテーションの添削にもとことん付き合いました。
勉強を教えること以外にも、一人で抱え込まず悩みを相談できる教師でありたいという思いから不安なことや悩みもたくさん聞きました。
初めて受け持った生徒が卒業した時、生徒たちから「国語の先生が先生でよかった」「先生のおかげで国語が好きになった」「私も先生みたいになりたい」といった嬉しい言葉をかけてもらいました。
嬉しくて涙が出ました。
教師という仕事のやりがいを感じた瞬間でした。
教師という仕事は、本当に大変です。
毎日毎日忙しくて、こんなブラックな職場でずっと働くのは無理だ!と思ったことも何度もあります。
でも、生徒たちにもらった言葉で教師を続けてよかった、そう思いました。
そして何より、高校受験を終え、春から新しい道に進んでいく生徒たちを見送ることが教師という仕事の何よりのやりがいだと感じました。
たくさん悩み、考え、勉強して、自分の未来を切り開いていく姿を近くで見届けることが教師の仕事だと、教師という仕事をしてみて強く思いました。
・これから教師を目指す方へ
最近、教員不足という言葉をよく耳にします。
教師を実際に経験した私も本当に過酷な仕事だと感じています。
でも、過酷である以上に、たくさんのやりがいを感じる職業でもあります。
そのやりがいがすぐには感じられないかもしれませんが、自分の目指す教師像をブレずに持ち続けて、子どもたちの夢や希望を叶えるサポートを全力でし、子どもたちの気持ちに寄り添うことのできる教師であってほしいと思います。