フード・飲食の体験談

食品卸の業界は人手不足と長時間労働です

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業種 食品総合卸

勤続年数 19年

10年前に退職

男 52歳

現在は独立して飲食店経営をしています。

 

・仕事内容

私は、食品総合卸に就職し、店舗部門、管理業務部門を経て営業への配属が決まりました。

それら全ての部門が長時間労働で、部門責任者になろうものならもう大変でした。

食品のあらゆる商品を取り扱うわけですから、品数がハンパではありません。

その管理となると本当に大変です。

在庫管理と受発注、検品と出荷が管理業務の部門でしたが、いつも営業と喧嘩ばかり。

どこの企業でもあることと思います。

朝早くから商品を入庫した後、お客様への商品の出荷をして次から次へとやってくるお客様からの受注をし、再び出荷の準備。

お昼を過ぎて次の出荷をした後に、商品の在庫と期限のチェックを行うと夕方になる。

翌日の発注業務を済ませた後に最悪の会議が待っている。

会議が終わって帰れるかと思うとそうはならず、営業との擦り合わせと残務整理が待っている。

一日が終わるのが21時。

つまり一日の労働時間が13時間であります。

営業部門では商品の提案は勿論の事、新規開拓も合わせて一日中車で走りっぱなしでした。

又、急な配送は営業の仕事で対応もしなければなりません。

営業の責任者となると数字と部下の管理がプラスされ、それでいて自分のテリトリーも訪問しなければならず過酷な仕事でありました。

特に最悪なのは「夜の商売」のお店の集金業務で、21時の集金はクタクタな体で本当につらかったです。

また、掛売のお客様が夜逃げすると大変な騒ぎ。

その責任は営業が追うのですが、夜逃げした本人を追跡調査したり、実家に行ったり、最終的には弁護士の所に行かざるを得なくなります。

それでいて一人当たりの担当軒数が200軒なのですから笑います。

正直いえは、この点が腑に落ちずに退職に至った経緯です。

食品業界は給与水準があまり良くない方で、労働と給与、賞与とのバランスがとれていません。

売上げは絶対条件、利益も大事、顧客管理の徹底と部下の管理。

最終的には債権回収で頭が一杯という状態でした。

 

・身になった事

そんな中でも得られる知識として食品全般は勿論ですが、嗜好性のつよいアルコール全般に関してはかなり勉強しました。

独立した現在その勉強の成果は、お客様との会話にかなり生かされています。

アルコールは世界中にあり、その地の伝統と文化、最新技術の導入と独自の進化を遂げています。

会社の取り組みとして勉強させられた部分もありますが、自分が興味のあるものを徹底的に勉強させてくれた前の会社には感謝しています。

一番勉強になったのは、アルコールメーカーへの視察です。

一般客の視察とは違い、日本酒では経営者や杜氏さん、ウイスキーでは品質管理の責任者と直接会話することができますし、海外への視察もできました。

特に素晴らしいのはワインの視察でフランスに行った事です。

これらはとても貴重な経験となっています。

 

・営業のメリット

一般的に敬遠されがちな営業にもメリットはあります。

幅広いお客様との人間関係が構築できます。

会社を辞めて時間が経っても未だに連絡をとっているお客様はいるので悪い事ばかりではないと感じています。

又、一流ホテルの担当となると営業自身はしんどいですが、多種多様な部署(和食、洋食、ラウンジ、BAR、喫茶、宿泊、結婚式場など)があり、裏事情も知ることが出来てとても楽しかったです。

 

・まとめると

私が就職した頃はリーマンショックが起きるまで順調でした。

価格競争はありましたが、しっかりと利益を出していました。

でも、その激務から食品業界はあまり人気はありません。

この業界は離職者が多く成長産業でもないので一人にかかる作業の負担も大きく長時間労働は当たり前の世界。

リーマンショック以降はもっと価格競争が激しくなり、大きく利益を出せる商品はプライベートブランドだけという状況です。

会社を大きくして、大量仕入によるスケールメリットを出さないと生き残れない世界です。

中途半端な商売は必ず淘汰されます。

そういう意味で魅力のある業界ではありません。

唯一ホワイトと呼べるのは、確実に週休二日制であった事です。

ここの休みがないと正直厳しいです。

但し、有給を軽く取れる雰囲気はない会社でした。

ですから、基本はブラックと考えても良いです。

私の場合は若い時は、野心と情熱だけで何とか凌いでいましたが、40歳ころから体力が持たなくなり、また自分のやりたい事もあったので退職しました。

自分で起業して分かった事は多々あります。

経理や総務の仕事をやった事がなく、自分でやってみると、今まで甘えていたんだなという事がよく分かりました。

特に役所関係に提出する業務や年末調整などいろいろとあり大変です。

また、コロナウイルスが流行った3年間はとても辛くて、従業員に辞めてもらうなどして精神的に追い詰められて、サラリーマンの方が楽だなと思ったことがありました。

経営者になって大変な事はサラリーマン時代より多々あるのですが、現在はそれを含めて充実しているのだろうと思っていいます。

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