・初めてのアルバイト
私は「高校生になったらアルバイトをする!」そう思って、アルバイトの求人募集をワクワクしながら見ていました。
「アルバイトをするのが楽しみだ」と言う私に、アルバイトの経験がある友人は「アルバイトは楽しいものじゃないよ」と言っていたことを今でも覚えています。
まだ働いた経験がなかった私には「働く」ということがどれだけ大変なことなのか想像できていませんでした。
近所のスーパーの面接に受かり、アルバイト初日、ワクワクした気持ちで出勤しました。
でも、そこで待っていた現実は、「楽しい」とはかけ離れたものでした。
「あのスーパーはかなり厳しいと思うよ」と周りの人からは聞いていましたが、想像を超える厳しさでした。
そして、想像していた「厳しさ」とは違ったものでした。
初日に任された仕事はカゴ集め。
歩いてカゴを集めていると、それを見ていた女性の社員に奥の部屋に呼ばれ、「やる気がないなら帰れ」そう言われました。
初日に心が折れました。
その後レジ打ちなど他の業務も担当することになりました。
できる仕事が増えていく一方で、怒られる恐怖でおびえるようになりました。
分からないことを質問した時にまるで聞こえていないかのように無視をされたことが何度もあったり、お客様の前で怒鳴られたこともあります。
「あんたは笑ってないと不愛想な顔をしていて怖い」と言われたこともあります。
アルバイトは有給性ではなかったので、翌月の休みの希望を前月に出すというシステムだったのですが、「休みの理由を書きなさい!!」そう大きくロッカーに貼られて、休み希望を突き返されたこともありました。
休みたい日に休む理由を書かないといけないということは採用時には言われていなかったし、理由を書かなくとも休み希望が通っていたアルバイトの子もいました。
気に入った子にはとにかく優しく、その他のアルバイトにはとにかく厳しかったです。
気に入った子のミスは優しくフォローしているのに、私のミスには怒鳴られました。
今の時代でいう「パワハラ」だったと思っています。
でもその当時は、「パワハラ」などという言葉は存在していなかったし、理不尽だなと思うことが多々あっても、働くということが初めてだった私は、「できない、分からない私が悪い」と思い込み、これが働く上では当たり前のことだと思ってしまっていました。
辛いことが多々あって辞めたいと毎日思っていましたが、幸いアルバイト仲間には恵まれ、その仲間がいたから3年間勤めることができました。
・新しいアルバイト先
その後大学生になり、心機一転、飲食店でアルバイトを始めました。
新人の頃、仕事の内容を女性の社員に教えてもらっている際に私は「すみません」と無意識のうちにたくさん口に出していたそうです。
その際、その女性社員は「ここで働き始めてまだ少ししか経っていないのだから、分からないこと、できないことがあって当たり前。「すみません」はやめよう。「ありがとう」って言われた方が私も嬉しい」と私に言ってくれました。
私は気づかないうちに、仕事中怒られることに怯えて「すみません」と口走っていたことに気付かされた瞬間でした。
そして、こんなにも優しい言葉をくれる上司に恵まれて初めて、前アルバイト先での対応が普通ではなかったのだと感じました。
ただ、前アルバイト先での経験が役に立ったこともあります。
前アルバイト先では、新人の頃からスピーディに仕事をすることを求められていたため、仕事の要領の良さは、その後どの職場に行っても役に立ちました。
そして、初めてのアルバイト先での経験があったからこそ、その後どの職場に行って少々理不尽なことをされても「こういう人いるよね」と受け流せるようになりました。
・働く上で大切なこと
大学を卒業後は社会人になりました。
その就職先でも、昼食に私だけが誘われなかったり、私には目も合わせず仕事内容を教えてくれなかったりといった経験もしました。
どこにでもいるんだな、そう思いました。
そう思っても、涙が出て何度もトイレに駆け込んで涙を流しました。
もちろん仕事をするということは遊びではないため、働くことの厳しさを教えてくれたことには感謝しています。
ただ、無視をしたり、仕事とは関係のない人格を否定するようなことを言ったりするのは、仕事をする上での厳しさとは違うと考えています。
そういったことをされた側は、一生忘れられない傷になっています。
「パワハラ」という言葉が浸透している今、このようなあからさまな“いじめ”のような厳しさはないかもしれません。
でも、同じように厳しい上司に今現在悩んでいる方はいると思います。
そんな職場で苦しむ必要はありません。
逃げてもいいのです。
自分の健康が一番です。
このような経験をした私が一番大切だと思うことは、心も体も健康に仕事ができることです。
働くすべての人が、心も体も健康に過ごせる世の中になってほしいと願っています。