・プロフィール
職業名 ピザ店の調理スタッフ
雇用形態 アルバイト
勤続年数 1年
入社時の年収(ボーナス、インセンティブ含む) 時給1100円
退職前の年収(ボーナス、インセンティブ含む) 時給1150円
性別 男
・ピザ屋で働くまで
この体験談は、私がピザ屋で働いていた時のものです。
当時、私は田舎から上京して、私立大学の大学生をしていました。
数か月間は都会に慣れることに専念していましたが、仕送りだけでは到底、食べていけません。
そこで、何でもいいからすぐに働けるバイトを探したところ、近所のピザチェーン店で求人がかかってたので、応募しました。
覚えているのは、面接の適当さです。
簡単に身分を確認したあとは、すぐに出てこれるかの確認だけで、なんとその場で採用が決まってしまいました。
面接官は店長でしたが、私の人となりなどは、たいして確認せずに採用したようです。
実は、私には心配なことがありました。
求人に応募の電話をしてから気づいたのですが、私には免許がありませんでした。
そこを訪ねると、店長は、宅配ができないことは残念がっていましたが、「それなら調理のクルーをやってくれればいい」と、あっさり切り替えていました。
・バイトの業務は楽しかったが…
私は数日後から、ピザ屋の調理スタッフとして働き始めました。
作業内容は簡単でした。
最初のうちはサラダの盛り付けやポテトの箱詰め。
少しすると、ピザのトッピング配置やカット作業を任されました。
調理経験がほとんどなかったので、野菜を切ったり綺麗に盛り付ける作業や、ピザカッターの扱いに戸惑いましたが、回数をこなすうちに慣れていきました。
調理スタッフは私と同じ大学生や高校生が大半で、和気あいあいと仕事ができました。
ブラックだったのは、店長と、配達クルーのフリーターたちでした。
・店長から負担を押し付けられる
まず、店長からの無茶ぶりの激しさです。
私は高校生よりは無理がききやすく、いうこともよく聞いたので、無理なシフト変更を押し付けられました。
また、あるときは配達の手が足りず、近隣の家に自転車で向かわされたこともありました。
病欠が出た日には、全員が配達に出てしまい、調理スタッフは私だけ、という日も。
そんなときでも店長は、ピザの注文量をセーブしたり、焼き上がり時間を長く伝える対処をとらず、ばんばん注文を受けさせました。
もちろん、電話を取るのもピザを焼くのも私だけ。
そんな状況で、さらに、ポテトやアイスクリームといったサイドメニューも、お客さんにオススメさせるのです。
店の売り上げのことしか考えていませんでした。
・配達クルーはヤカラだらけ
もっと恐ろしかったのは配達クルーとの付き合いです。
彼らのほとんどは、ヤンキー上がりのフリーターでした。
調理スタッフが足りずに彼らがピザ調理に入っていた時は、なんとタバコを吸いながら作業していたこともあります。
私は新入りでナメられていたので、よくパワハラ的なことを強要されていました。
店舗の前でダンスを踊らなければ、中に入れてもらえなかったり、出会い系アプリの相手探しに付き合わされて、家に帰れず徹夜したり、バイクで喧嘩に連れていかれたり。
そんな中で、最初に自分を指導してくれた30代の配達クルーの男性だけは、大変な目にあっている私をよく気遣ってくれました。
もっとも、彼も10代でタバコを吸い始め、1度は懲役も経験していたらしいのですが。
・呼び出しに疲れて退職を決意
時給は悪くありませんでした。
それに、パワハラに応えているうちに、配達クルーにも信頼されて、だんだん関係は良くなっていました。
しかし、真夜中に急に呼び出されて清掃を命じられたり、売り上げが悪いためにサイドメニューを自腹で買って帰らされたり、配達クルーの一人が配達先でお客さんに連絡先を聞いて解雇されたりと、条件・環境ともに、このままではマズいなと思うようになり、1年間で退職しました。
大学生活では出会えないような、荒んだ人々と交流したのは良い経験でした。
また、レジ対応もするので、基本的なマナーが身につきました。
ただ、警戒はしていたので、辞めたその日は、念のため漫画喫茶で過ごしました。
家の住所は履歴書に書いてあります。
店長は諦めていましたが、配達クルーの人たちは押しかけてくるかもしれないと思ったのです。
しっかり警戒するクセがついたのも、よかったかなと思います。
仕事を探すときは、その店に勤める人々が、自分の性質と合っているか確認しておいたほうがいですね。