今から数年前の出来事です。
アマゾン、ものすごい勢いで成長するEC企業であるが、その倉庫実態は一言では言えないほど、の惨状を呈していました。
それがどんなだったか、10年前アルバイトをしていたころを思い出しながら書いてみようと思います。
まず、入出庫の日々のオーダーこなす為にはどうしても、人手が必要です。
ところがアマゾンの倉庫があるのは臨海部や山奥ばかり。
人がなかなか集まりにくい場所に集中していました。
地代が安いのでしょうね。
そこへ次々と各地から集められて護送車のようにアマゾンバスで運ばれてくるスタッフたち、そしてそのみんなの目が死んでいるという現実が目の前にありました。
業務過多で人手不足を常に起こしていればこうもなると思います。
ところがそんな中でも陽気な一群がいたりします。
国籍は定かじゃありませんがラテン系の方々は陽気にふるまっていて、空気を柔らかくしてくれていましたね。
日々の大量の出荷オーダー、入荷オーダーを人出でこなすしかない惨状、倉庫に入りきらず倉庫のプラットに積みあがる荷物、出荷トラックが足りずに同じく積みあがる荷物。
仮倉庫に無事に受けが出来たとして、今度は棚への仕分け作業が発生します。
ところが当時これも手作業。
入荷後、ある程度の種類に分けたワゴンを引きずりながら、どんどん保管棚へ投入していきます。
これも膨大な量の為、息も絶え絶えになるほど重いワゴンを引きずったことを覚えています。
当然オーダーが入れば即出荷ですから、その指示が出ればダッシュで保管棚まで行って、ピックアップ、そして出荷梱包作業に入ります。
そうすると当然、元々より荷物の大きさが膨れているわけですから、またスペースを圧迫していくこととなります。
全てにおいて余裕がないアマゾンですが、アメリカ本国や世界中の労働組合(ユニオン)などから上で書いたようなたような職場環境の厳しさを指摘され、あるメディアの潜入ルポの情報では、物流センター内では、一日10時間で17キロ歩かされていたとの事。
当時は必死すぎてそんな実感はありませんでしたが。
そんな労働環境だった為か、さっさとやめて数年たったころ、インターネットを見ていたら世界中の労組の国際組織である国際総連合(ITUC)が実施したアンケートによると、そこでのアンケートで、「世界最悪の経営者」に、アマゾンの創業者で最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏が選ばれたという記事が掲載されていた。
実際、倉庫で働いていたときは、まるで独楽鼠のように働いていたし、昨日までの仲間は明日はもういないなんてこともほぼ毎日起きていたことであった為、仲間意識などは殆ど生まれなかった。
長く働いている人同士はどうだか知らないが。
実際死ぬほど重いワゴンや台車を、毎日17キロも運んでいたのかと思うと、それはさながら奴隷労働、苦役としか言いようがない気分になったのは事実であり、肉体的負担、精神的な負担、それらによってけがや病気はいつでも隣にいたような気がする。
その事によってかどうかはわからないが、精神の状況を崩しているように見受けられるスタッフも見かけることが時々あった。
特に長くいる人は、なぜか独特の感性でもってコトを進めるためか、周囲とのトラブルが絶えなかったようだが、彼らは今どうしているのだろう。
普通にまだあの広大な倉庫の一角で働いているのだろうか。
一般社会にでたのだろうか。
もはやそれを知るすべはないが。
新型コロナにより、さらに加速したECやドロップシッピング、それらに追随するほかの他同業種間での人材の取り合いからして、今のアマゾンの時給はそれでも高い方だと聞く。
当方が働いていた頃よりはかなり自動化が進んでいるとはいえ、それでもまだまだブラック企業の烙印が消えているわけではない。
つまりそれを流布する人間が私も含め畝に存在するからである。
そうなると最後、人の口に戸は立たないのである。
特に今のインターネットでの拡散力を考えれば、どこをどう切ってもブラック企業であるアマゾンを、普通の感覚で語れる元従業員(特に現場作業員)はいないだろう。
これらを有象無象の無意味な話と切り捨てることは簡単だ。
寧ろ大企業からすれば、その口をふさぐ行為に費用をかけていることに注目したい。
結局のところ本当の悪評が広まれば、アマゾンで買い物をする人は減るに違いない。
アマゾンプライムなどの映画配信サービスなどはのこるかもしれないが。
この費用をかけるぐらいなら、現場作業員の置かれた状況を改善すべく全自動化にまい進すべきである。
そうでなければ恐らく近い将来、アマゾンの倉庫で働くワーカーが不足して、入出荷もろくにできない状態となり、最終的には消費者のもとに商品が届かなくなってしまうのだから。
ベンチャーだった時代のアマゾンは(つまり創業者の目が届く範囲でビジネスが進んでいた家族的企業の風土である時期)よかったようだが、もはや超巨大多国籍企業と化し、また新型コロナによる自宅待機用グッズのEC需要によって、さらなる現場の改革(つまりコンポイン的な荷役の自動化)が出来なければ、どこをどうやってもブラック企業から脱することは出来ない。