■取り敢えず声優しています
舞台役者をメインに、声優として声がかかればどんな仕事も受ける生活をこの10年以上続けています。
現在は56歳になり、妻と子供を養うために、役者と声優の仕事がない時は、実家の飲食店を手伝うようにしています。
夢はずっと追い続けて居たいし、それが無くなったら自分が自分で無くなるので、舞台には立ちたいし、アフレコの仕事でブラウン管のむこうから自分の声が聞こえてくるのは止められません。
もう一種の中毒ですね。
ただ声優中毒患者でも家庭を持てば生きていかねばならないので、苦肉の策を打つ必要があり私は私なりに今の形でここ数年は来ています。
思い返せば、高校生の時にテレビアニメでシティハンターの声優さんとか、バットマンの声優さんとかの独特の声に憧れていたころから、大学に進み演劇部で芝居をするようになったのが10年以上前のことになります。
■声優の素晴らしさ
芝居で舞台に立つことは、ことのほか快感だし、ある意味承認要求が満たされます。
同じように声優として自分がアフレコをした画像から自分の声が流れてくるのは、ことのほか快感であり、はまると抜けられない麻薬のようなものであるともいえます。
だから若い人たちが声優を目指すというのは、大変理解できることではあります。
ただこの世界に10年以上もいると、楽しい世界であり、しんどい世界であり、努力が求められる世界であり、同時にどうしてもかなわない人がいる、上には上がいる世界だという風に感じます。
ただ昔とちがって、いろんなことが整備されてきたという思いもあります。
一緒に仕事をする声優仲間を見ていると、同じ世代の我々との時とは異なり今は一応、こうすれば声優に成れるという形が出来ているという風に感じます。
■声優に成るための方法
声優の専門学校に入るのが良く知られている形です。
声優専門学校は週5日の全日制が一般的です。
かなり授業時間が多いので、声優未経験でも基礎からしっかり学べることが特徴です。
一から声優を目指したいという志望者には、業界のこともわかるし、大変人気の選択肢であります。
至れり尽くせりで学生寮がある専門学校もあり、生活面から声優志望を支えてくれます。
業界との繋がりが強い専門学校なら、運が良ければ、事務所から声がかかることもあります。
そしてその次に、声優志望者が利用するのは声優養成所に入るということになります。
よく知られているように、声優養成所は、声優事務所や芸能事務所が新人声優を育てるために設ける養成機関になります。
だいたい、活躍しているプロの声優の多くは、声優専門学校か声優養成所を経由しており、この2つが声優になるための王道ルートといわれます。
声優専門学校と比べて、声優養成所は厳しく、中にいる間に声優として、目が出る、目が出ないという事を突き付けられるので、途中でやめていく人も沢山います。
レッスンは週に1〜2回、2〜5時間程度で、養成期間は1年~2年となっています。
夜間や休日に行われることが多く、学生や社会人でも通えることが特徴。
学業や仕事と両立させながら学びたいという人はこのルートが一般的です。
だから、声優養成所に入るには基本的にオーディションを受ける必要があります。
■声優になることの難しさと意味合い
いろんな方法で曲がりなりにも声優のポジションを獲得してきた連中を見て感ずるのは、声優というのは大変な仕事であるという事を強く感じています。
大変だというのは仕事としてやりがいのある、子供達に夢を与える素晴らしい仕事であるというのはいの一番に来ますが、そこを目指して、トップ集団に入るというのは大変なことだなあという思いの方が強いです。
なるのが大変な仕事というベスト10をあげれば声優は5本の指にはいると思います。
なんといっても、一流声優という職業の数は10席から20席くらいしかないからです。
その数少ないプラチナシ-トを数千人で取り合いしているわけですから、難易度は当然上がります。
医師とか弁護士になるよりも、割合からすると難しいと思います。
当然野球選手になってグラウンドに立つよりも、割合からしたら難しいです。
だから、ただ地道に努力すればなれるというものではありません。
医師、弁護士、プロ野球選手は 努力が目標達成に正比例します。
すなわち、努力すればその努力は実るということです。
声優の場合、ポストが本当にありません。
毎年、増えるわけでもありません。
天才的にいい声に生まれてくる連中が、毎年数名います。
「こいつにはどうしてもかなわない。どうしても。そんなインパクトのある声なの!」という連中が数名います。
この手の連中に、数少ない声優ポストの席の半分近くを持っていかれるので、一般の声優志望者たちはそこで競争になるわけです。
そのような場合、異様な競争率になるので本人の努力以外の他の要因が大きく働くことが多いです。
若い声優志望者たちには、そういう不合理な世界に飛び込んでいくという事を事前に伝えてあげることは必要なことだし、入ってくる方もそれなりの覚悟を持つことが出来るのだと考えています。