【期待して入社したはずが、、入社初日から怒号が飛び交う会社】
私は、小さい頃から文章を書くのが好きでした。
大学でも文学部に入り、wスクールをして文章を書くスキルを磨いたりしていました。
三流大学でしたので、出版社ははなから諦めていましたが、編集プロダクションならのぞみがあると思い、入社試験を受けたところ、なんと受かって入社することができました。
この時は天にものぼる気持ちでした。
文章を書く仕事に就けるなんて、自分は本当に恵まれていると思いました。
入社後は研修を終えたあと、編集部に所属することが決まっていたので、入社するのを心待ちにしていました。
そして迎えた入社式がやってきました。
入社式のあと、新入社員だけが一室に集められ、そこが研修室になりました。
そこで課長職の男性社員からパソコンの基本操作や専門ソフトの使い方などを教わりました。
初日で緊張していたものの、何とか研修内容を頭にたたきこもうと必死でした。
画面を集中して見ていたら、急に「てめー何考えてんだよ!ふざんけじゃねーよ!」と研修室中に怒号が飛び交ったのです。
画面に集中していたので、私は顔をあげて中をみまわしました。
すると、いつのまにか課長職の男性社員のところに部下らしき男性社員が来ていたのです。
雰囲気から察するに、その部下の男性社員がどうやら仕事のミスの報告をしてきたらしいのですが、そのことを課長職の男性社員がものすごい剣幕で怒鳴り散らしていたのです。
「俺知らねーからな。おまえが何とかしろ!」と言い捨てて、その部下の男性社員を研修室から出ていかせました。
当然のことながら新入社員は全員あっけにとられていました。
しかし、そのことについて誰一人として質問できる空気ではもちろんなく、黙りこくるしかありませんでした。
今から思えば入社初日で上司が部下を怒鳴り散らすシーンに居合わせたわけですが、会社というものに初めて入ったばかりで、それが普通のことなのか異常なことなのかさえ判断する力さえありませんでした。
それどころか、「すごい体育会系の会社なんだなあ」と感心さえしてしまいました。
しかし、それが過ちのもとだったのです。
【ミーティングという名のセクハラ会議】
研修期間は1か月半ほどあったのですが、その間に社長と新入社員全員でのミーティングという名の研修がありました。
ミーティングルームに社長を囲んで新入社員が座り、社長の話を聞くというスタイルのものでした。
とはいっても、実際は社長の雑談を聞くというものでした。
雑談、といえば聞こえはよいのですが、何とこの話の中でいわゆるセクハラに触れるものでした。
具体的には社長は女性の新入社員の体型や外見について話題にし笑いをまじえて嘲笑するのでした。
作り話のように思われるかもしれませんが、これは真実です。
事実、私も言われましたから。
私の場合は、体のある一部分について笑われました。
私は、はははと笑うしかありませんでした。
当時、セクハラという言葉は知ってはいたものの、まさか本当にそんなことを話題にする人がいるとも思わず、何が起こっているのか冷静に理解することもできませんでした。
まあ、冗談で言っているのだろうと思いましたし、暗い顔をして嫌な雰囲気になるのも嫌でした。
それは、文章を書くという仕事にせっかく就けたのだから
少々のことには目をつぶろうと考えたからというのが本音です。
【憧れのマスコミ業界に入れたのから、、が間違いのものだった】
私は小さい頃からあこがれの業界に入れたので、それだけで有頂天になっていました。
同時に、自分がやりたい仕事に就けたのだから、多少のことは我慢しなければならないという強迫観念にもかられていました。
自分がしたい仕事をできる人はそう多くはない、小さい頃からの夢をかなえたのだから、不満を言うのは贅沢だと思っていたのです。
しかし、今から思えばそれが大きな間違いだったのです。
憧れのマスコミ業界に入れたのだからという思いが正しい判断をできなくさせていたのです。
本来であれば、社長ともあろう人間が、周囲の前で身体的なことを嘲笑するのはあってはならないことです。
それを、「自分は目標とする仕事をさせてもらえるのだから文句や不満を言ってはいけない」と思いこんでしまい、その結果、自分はブラック会社の姿を気づけずにいたのです。
結局、社長のミーティングと称したセクハラ会議は年間を通して開かれ、私はそのたびに笑いたくもないのに笑い続けました。
おまけに、その会社は定時とは名ばかりで、毎日終電まで働かされたあげく、残業代は出されませんでした。
終電で帰り、夕飯を食べお風呂をすませて床につくのは深夜2時近くでしたが、朝は8時45分には出社しなければなりませんでした。
そして、社員全員で会社を掃除するルールになっていました。
掃除が終わると、社訓を読み上げるのが毎朝の日課でした。
業務中は、怒号がしょっちゅうとびかっていました。
そう、新人研修でまのあたりにした怒鳴り声はあちこちでなされていたんです。
【正しい判断力が必要】
セクハラにパワハラ、残業代もないし、有給も1日でさえもとらせてもらえなかった、正真正銘のブラック会社を私は1年で退職しました。
しかし、もっと早くに辞めていればよかったと思います。
はっきりいって貴重な時間と労働力を無駄にしました。
自分を守るためには、ブラック会社を見極める正しい判断力が必要不可欠です。