医療・介護・福祉・看護の体験談

高齢者施設のコール対応はゴールの見えないマラソン

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プロフィール

職業名 高齢者福祉介護職

雇用形態 正社員

勤続年数 2年半程。

入社時の年収(ボーナス、インセンティブ含む) 年収290万円。

性別 女性

 

・引っ越しが先か仕事探しが先か

全ては引っ越しから始まったと言っても過言ではない。

40歳半ばでようやく便が良くて住みやすそうな物件を見つけたのはいいが、通勤には不便な場所であるらしく、電車もバスも使えず徒歩圏内でもなく自電車ならどうにか通える高齢者施設に入社をした。

今までも高齢者福祉施設の介護の仕事をしていたので、引っ越してから間もない不慣れな土地とは言えども軽い気持ちで飛び込んだ施設だった。

 

・潜んでいた自己中ケアマネジャー

ここでは朝礼30分、夕礼30分にランダムで参加しなくてはならない決め事があった。

要するに1日の始まりと終わりに申し送りをするという業務である。

この申し送りは大体一人につき5分くらいにまとめなくてはならず、当時の私は、上手くまとめきれずに時間に間に合わないという失態をよくしでかしていた。

そこで全く潜んでいたかのように存在感のない女性ケアマネジャーに目をつけられてしまい他部署の従業員の前でツッコミどころ満載とばかりにツッコミを入れられるなど大恥をかかせられた苦い記憶がある。

ちなみにこの女性ケアマネジャーは耳にピアスをつけていたが間違ってもモテるタイプではないと信じて疑わなかった私だが、何でもバツ3だと知って世の中には物好きな男性がいるものだと思い直したものだ。

 

・今だから話せる有酸素運動

全身の持久力を高めるための早足ウオーキングは、一定のリズムでしかも「ハアハア」と呼吸できるレベルの強度で長時間続ける有酸素運動だ。

ここで働くメリットは体力の維持と増進をはかれること。

だから生まれつき虚弱体質で疲れやすい人には向かないだろう。

特に女性にはオススメはできない。

何故なら独身の20代の女子でも家に帰る頃にはクタクタで寝に帰るだけだと聞いていたから。

子育て中のママさんは辛うじて時短勤務がやっとだと言っていたくらいだからだ。

 

・顧客優先の心臓破りCALL

1時間おきに顧客の居室を巡視して安否確認する他にCALL対応という仕事がある。

企業理念は「顧客満足第一」であるのでどんなに忙しくても呼ばれたら即対応が基本中の基本だ。

当然ながら「不安だから来て」という内容のものから「間違えてCALLボタンを押してしまった」だの、「CALLボタンは押してないけど勝手に鳴った」というのまでを含めると引っ切り無しに居室から居室へと出向いていくCALLの嵐で気づいたら心臓破りの重労働だ。

そこへ「不穏、妄想、徘徊、弄便行為」に対応するのだけを見てもゴールが見えないマラソンのようなのだ。

 

・ハイリスクローリターン

例えば高齢者一人につき朝昼夕の3回の食事があるとして、居室から食堂までを3往復する計算になる。

食事だけにとどまらずここに排泄やら入浴やら衣服の着脱やらが加わるのだ。

考えてみてほしい。

少ない従業員で多人数の高齢者を介護もしくは移動させる行為そのもの自体が反サステブルなのであり、高齢者がお金さえ支払えばと解決することばかりではない。

従業員は「うつ、腰痛、膝痛、追い詰められての虐待、不眠、感染症」などのハイリスクを背負いながら少ない給料で潰れたら終わりに使い捨てされるのだ。

ここでの基本給は12〜13万円だった。

 

・求められる体力と企画力

高齢者の足代わりとして動く仕事なため自ずと体力はつくし求められる。

何と言っても顧客満足第一というので顧客のためのイベントを考えるのも仕事のうちだ。

少しの予算で顧客に満足してもらえるような企画書を提出し、実行に移すまでの労力は計り知れないが、高齢者の喜びの声や笑顔が一瞬でも垣間見えたりするのはこの仕事のメリットである。

企画力を求められ確実に企画力はつけられるだろう。

 

・できるカリスマ女施設長

入社してみて気付いたことに20~40歳代の才気煥発な個性的な女性従業員が多く在籍していた。

その上、クール・ビューティーなカリスマ性を持った女性の管理者兼施設長は皆の憧れる存在だった。

前述した感情的なケアマネジャーを除けばチームワークは抜群だったし、コミュニケーションも問題なく取れていたように思える。

人間関係の良好さは働くモチベーションアップにつながりやすい。

 

・顧客満足第一沼からの脱却

これはある意味で離脱なのだろう。

逃げ出すのではない。

抜け出すのである。

果たして人が満足することなどあるのかどうか。

CSATすなわち顧客満足度の沼にハマるとなかなか抜け出すのも難しい。

顧客の期待にどれだけ応えられるのか、どれほど多くの心を掴めるのかを追求しすぎると従業員の不満足につながりさえする。

慢性人員不足、休みが取りづらい、サービス残業、有給休暇取得NGの企業に呆然として退職をするのだ。

 

 

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