オフィス・事務の体験談

食品会社の事務体験談!入社した次の日に教育係の先輩が消えた

投稿日:

職業名 事務員

雇用形態 正社員

勤続年数 2年

入社時の年収(ボーナス、インセンティブ含む) 約200万円

退職前の年収(ボーナス、インセンティブ含む) 200万円

性別 女性

 

・働くって楽しい!

4年制大学を卒業後、ご縁があって食品会社へ就職しました。

任されていた仕事は人事の仕事でした。

内勤でのデータ入力や男性社員の補助と聞いていたため、あまり難しい仕事だとは感じず、周りも同世代の社員が多いことから特に不安はありませんでした。

入社初日、私の教育係として3歳年上の男性社員が仕事を教えてくれました。

特に難しい仕事ではありませんでしたが、丸一日かけて先輩の業務を聞き必死にメモを取りました。

あっという間に終業時間になり、先輩から衝撃の一言が「俺、今日で辞めるからあとは宜しくね!」

「え!?辞めるんですか?ほかにこの業務知ってる方は・・・」「いないよ。簡単だから大丈夫!頑張ってね。」

驚きすぎて言葉が出ませんでした。

社会人経験のない私は、驚きましたがそういうものかとも思い、「はい」と返事をしてしまいました。

「新入社員は3か月は定時退社だから早くタイムカードを切ってね。お疲れまでした。」と言われ、私は荷物をまとめてタイムカードを切りました。

帰宅してからは不安で、メモ帳を何度も読み返し仕事のことばかり考えていました。

不安な二日目。

案の定昨日の先輩はいませんでした。

すると、1歳年上の男性社員に声を掛けられました。

「今日から僕が担当なので、よろしくね」と言われ、先輩がついてくれることに安心感で一杯でした。

今思えば説明も無しに人が変わることがおかしいのですが、当時は何とも思いませんでした。

新しい教育担当の先輩は明るくて優しく、分からないことは一緒に考えてくれました。

私の担当の仕事は他の人では分からないため、他の部署に聞きに行ったり、直接相手方に連絡したりと悩みながらもなんとかこなしていきました。

叱られることや、落ち込むこともありましたが「ありがとう」と言って貰えることも増え、仕事をしているという実感が湧いていました。

教育担当の先輩とは仲良くなり、同期と飲み会をしたり、先輩たちと休日に遊びに行ったりと学生時代に憧れていたような楽しい社会人生活を過ごしていました。

 

・タイムカードとは

入社して3か月、先輩から「今日から残業できるので、一緒に残ろうね」と言われました。

確かに、今まで私が帰る時に一緒に退勤するのはパートさんと同期のみでした。

毎日仕事を次の日に残していたため、正社員だし残業するのは当たり前かと思い「はい」と答えました。

定時の18時を過ぎてもオフィスには大半の社員が残っています。

私も今日からその一員だと思うと、なんだか誇らしい気持ちでした。

19時ごろ、先輩からそろそろ帰ろうと声を掛けられ作業を切り上げました。

残業と言っても1時間位かと思っていると先輩から「僕たちの分のタイムカードの打刻お願いしていい?」と言われました。

意味が分からずきょとんとすると、「女性社員は20時までには帰すことになっていて、男性社員は何時まで残業してもいいけどタイムカードは20時までって決まっているから」と言われました。

全く意味は分かりませんでしたが、結局はとにかく残業代を出したくないとのことでした。

そこでも新入社員で、先輩と仲良くなった手前「分かりました」と言い、私は部署の全員分のタイムカードを手に持ったのでした。

 

・帰れない日々

そんな生活にも慣れてきたころ、部署に繁忙期が訪れました。

私も出来ることが増え、任されている仕事を楽しんでいましたがどう頑張っても20時には間に合いませんでした。

先輩に間に合わないことを告げると、残業してもいいけど、残業代はでないよ。

あと20時過ぎると営業部長が見回りに来るから隠れてねとも言われました。

すっかり会社の方針に洗脳されていた私はまたもや「はい」と返事をして、19時半頃に全員分のタイムカードを切り、部長の見回り時間には倉庫に隠れていました。

1年目は周りに言われるがまま、ブラック企業へどっぷりと漬かっていました。

この頃は夕食も遅く、お酒を飲まないと眠れなかったため入社時に比べると体重が5キロほど増加していました。

 

・2年目の私

入社2年目、仕事の要領もよくなり繁忙期を超えたこともあって久々に定時で帰れる日が2週間ほど続きました。

すると、ある月曜日に課長から声を掛けられました。

面談をしようという事でした。

私の部署は面談が多かったので、特に気にも留めていませんでしたが、この面談をきっかけにおかしさに気が付いたのです。

「最近、定時に帰っているけど何かあるの?」ときかれ「仕事が終わっているので帰っています。」と答えました。

「周りはほとんど残っているよね?やることなくても良いから席に座っていてくれるかな。」と言われました。

毎回帰る前には、同じ部署の社員にやることは無いかと、帰っていいかを確認していたのでその言葉にショックを受けました。

その日から、やることは無いのに残る日々が続きます。

何もしないわけにはいかないので、先輩の書類チェックや備品の補充や整理など、その日にやらなくてもいいことを毎日していました。

体重はさらに増えましたが、お給料は増えません。

 

・決意の誕生日

2年目の繁忙期、部署内で休職してしまった社員がいることもあり忙しさが去年とは比べ物になりませんでした。

お昼にサンドイッチを詰め込みながらパソコンとにらめっこして、終電に間に合うよう帰る日々が続きます。

タイムカードの打刻はもちろん19:30です。

家に帰るとコンビニ弁当を食べてハイボールを飲んで眠っていました。

その日は、私の誕生日でした。

子供の頃とは違い、誕生日だからといって何も変わりません。

ただの産まれた日です。

なぜかトラブルやクレームが多く、あっという間に終電を逃してしまったのです。

幸い、同じ方面の営業さんがいたので自宅に送ってもらうことが出来ましたが、家で一人で冷たいおにぎりを食べていた時に涙が出てきました。

とっくの昔に心もからだも限界だったのです。

 

・退職

次の日、課長を呼び出し退職の相談をしました。

繫忙期という事もあって今すぐには難しいと言われましたが、泣きながら粘って何とか3月末で退職することになりました。

繁忙期中に引継ぎをするという激務でしたが、この日々から抜け出せるのならと必死にこなしました。

退職の日、同じ部署の方々から花束と色紙を頂きました。

私の教育係の先輩は、私が退職をすると知った日からよそよそしくなり、当日は目も合いませんでした。

無事に家に帰ると、ほっとして涙が溢れてきました。

 

・私と会社のその後

転職先は、やりがいや若さは少ないものの、定時退社が当たり前で穏やかに過ごせる会社です。

規則正しい生活が良かったのか、体重はマイナス10キロになり、周りからは転職ダイエットの成功者と言われました。

以前勤めていた会社は内部告発で労基署の監査が入り、大変だったと元同期から聞かされました。

やりがいや勢い、楽しさはもちろん大切ですが、これからも私は自分の体を大切に出来る会社を選ぼうと思います。

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