・プロフィール
職種 ビジネスホテルのフロント業務
雇用形態 正社員
勤続年数 10年
入社時の月給 月給11万
退職時の月給 月給14万
・高卒フリーター、ホテルマンになる
私は家庭の事情で高卒フリーターになってしまいしばらくふらふらしていましたが母親が亡くなった事をきっかけにビジネスホテルへ就職しました。
面接は支配人が行ってくれてすごく感じが良かったのでもしかしたら受かったかも!とワクワクしていました。
予感は当たり無事に就職が決まり天国の母親にも安心してもらえる。
そう安堵したのを覚えています。
・初日からほのかに香るブラック臭にざわつく心
入社初日からほんのりブラック臭が漂ってきたのを鮮明に覚えています。
まず従業員室が狭くて異臭がしました。
備品も散乱し着替えるスペースはほんの僅か。
そして研修は廊下の両端に支配人と私がそれぞれ向かい合って立ち、大きな声で挨拶をし返すよう言われました。
支配人がおはようございます!!!と言い、私がそれに倣いおはようございます!と返します。
すると声が小さい!!!と怒鳴られるのです。
すっかり、萎縮してもう帰りたくなってしまいました。
午前中はまさかの挨拶だけでおわり疲労困憊。
そして、何故か休憩中は携帯禁止との謎ルール。
電話も接客も人が足りなかったら出るように言われ全く気が休まりません。
右隣には支配人がしかめっつらで仕事しているせいもあります。
・個性豊かすぎる同僚達
でも面接の時は従業員の人達も雰囲気がよかったのでそれくらいは許容範囲かな?と思っていました。
すると夕方から夜勤の人が出勤してきたのですが、その人の目がめちゃくちゃ死んでたんです。
しかもめちゃくちゃタバコ臭い。
ひと目で負のオーラが漂っており何だか絶望してしまいました。
その人は結構年配の男性なのですがこの職場の一番の古株でした。
そしてその後バイクで登場したのが弱弱しいメガネの男性。
でいきなり年配の男性がメガネを説教し始めて事務所は一気に不穏な空気になりました。
しかも説教の内容が言われた事をメモにとれ、とか人の目を見て話せとかレベルが低くて、あれ?小学校ですか?って錯覚してしまいました。
・お客様は神様です!従業員の人権なんてありません!
中々の衝撃を受けた初日でしたがその後は毎日頑張って出勤しました。
ようやく全員に挨拶をし終わり、中には優しい人もいたので徐々に慣れていきました。
しかし肝心のお客様は癖のある人が多くまだまだ困難が待ち続けていました。
駅前のリーズナブルなビジホってある意味地雷なんで。
なぜなら安い経費しか出してくれない会社のしがないサラリーマン達が理不尽なストレスをたっぷり受けて駅前の安居酒屋チェーンでしこたま酔っ払ってくる。
民度が低いのでなけなしのプライドを真摯に労働する若いホテルのフロントマンに誇示して何とか、自我を保とうとするからです。
インクが出ないと言ってペンを投げる、予約の検索に手間取ると怒鳴る、自分の手違いで裏の違うホテルに予約をしたくせに逆ギレする、部屋の中で大音量で音楽を流す、1週間窓を空けないと匂いが取れないお香を炊く、尿や便を垂れ流し何も言わず平気な顔でチェックアウトし連絡取れないなど。
でもこんなのは可愛い方で、たまにドギツイホンモノがくる。
ある人は部屋に盗聴器が仕掛けられてると深夜フロントに駆け込んだあと、従業員の首を締めようとした。
ある人はすっ裸の上にガウンをきて裸足でロビーをウロウロしてカバンの中の大量の札束をチラつかせ、「俺には金がある!病院から抜け出してきた。家族に狙われているから絶対にここにいると言うな!」と脱走兵みたいなことを言う。
ある人はまだ小さい子供を連れて部屋に匿って自殺未遂を図ろうとする。(警察が乗り込んで大事にはいたらない)
ある人は猫を勝手に連れ込み糞尿をまきちらす。
ある人はある事ないこといちゃもんをつけて従業員を3時間拘束。
そして土下座を強要させる。
しかしこんな人達を支配人は追い出さない。
それは下手なことをすると口コミを書かれるから。
口コミは常に本社がチェックしひいては支配人の評価につながる。
支配人は従業員がモンスターみたいな客に絡まれても知らん顔でカタカタ仕事をして、定時で帰る。
あるいみお前が一番モンスターじゃないか?と思う。
・ボーナスは辞めたら渡さない!一筆書いたよね?
以上を踏まえて非常にヤバい職場なのでひっじょーに離職率がたかい。
これはあるあるなのかわからないが、ボーナスを貰ってから辞めることが出来ない。
厳密にはボーナスを返せと言われるのだ。ボーナスにはこれからの期待値が含まれているから辞める人には渡さないということだ。
しかも支給後1ヶ月後にやめた場合も返金を要求される。
ボーナス支給時にその旨が記載された書類にサインをするから裁判とかでも恐らく勝てない。
なんてせこいやつらなんだ。。。
・ブラックからの旅立ち
そんなこんなで私は結婚を機に寿退社という形でブラックホテルを退社した。
10年も勤めたのに労うどころか裏切り者扱いされ、送別会も開いて貰えなかった。
なんという、監獄にいたのだろう。
ブラック従業員は資本主義の奴隷だ。
十分すぎる位いい社会勉強になった。
今は株をやったり個人で仕事を始めたり大家業を勉強したりして、資本主義の勝ち組になる為に勉強している。
若いうちにこの経験が出来て良かったと本当に思える。
なんだかんだ刺激的で楽しい10年間だった。
ありがとう!!