・感動と喜び
私は新卒で就職したのではなく、結婚して子供ができてから初めて働き始めした。
働くきっかけは、園に併設している支援センターに遊びに行ったことで、親子でその園に入ることになりました。
そこは障害児保育をやっている園でした。
少し言葉の発達が遅かった我が子をとてもよく見てくれました。
そこで、我が子のためにも様々な講演を聞いたり、勉強する機会に恵まれ少しずつ障害(自閉症)に関する知識が身につきました。
そのため、自然とその様なタイプの子どもたちとの関わりが多くなっていました。
うちの園では年長でほとんどの子が二輪車にのれるようになります。
少し発達に遅れがあった一人が、乗れるようにはなれず卒園していきました。
しかし、小学校へ入学して弟のお迎えに着いて来た時に、『自転車に乗れるようになったよ!』と笑顔で教えてくれました。
その時はお母さんもとっても嬉しそうに話してくれて、私は感動と嬉しさでいっぱいになりました。
その子は今、養護高校を卒業して働いています。
時々保護者の方と会ったときに近況を聞かせてもらい我が子のことのように喜んでいます。
・思いやりが足りなかった失敗
まだ、働き始めて間もない頃、双子の0歳児が入院をして退院後すぐに登園してきました。
早番でいた私は「昨日退院したばかりでは、今日から登園は控えた方がよいのでは」というようなことを母に話したところ、母は激怒して帰っていってしましました。
今思うと、言葉が足りなかったし、双子で年の近いお姉ちゃんもいたお母さんが、疲れてしまっていたのだと、半日でも数時間でも預かってあげてお母さんに休ませてあげる時間を作ってあげることも必要だったと感じます。
・今ではありえない
今は、好き嫌いがあっても一口がんばってみよう!と励ましながら無理はしません。
少し前には、食べ物の好き嫌いはいけません!苦手なものでも食べられるまでがんばらせていた時代があったのではないでしょうか。
働き始めたばかりのころ、年配の先生が嫌いなミニトマト(今は給食にミニトマトを提供しません)を無理に食べさせた子が、お昼寝中もずっと口の中に入っていたということがありました。
今思うと、本当にコワイ危険な行為です。
発達に偏りがある子の特徴として、偏食があります。
食べず嫌いとも言い切れず、様々な方法を試しながら、なんとかお腹を満たすことができるようにしてあげたいと思う日々です。
・保護者対応の難しさ
私たちは、日々の保育の中でどの子も、輝けるように行事の時などは配役などを考えます。
うちの園は、最初から役柄や器楽演奏の担当楽器は決めてしまわず、毎日、色々な役に挑戦して楽しみながら進めていきます。
そんな中、保護者からは「どうしてうちの子はこの役ができなかったのですか」と本番の後に不満の声が上がることが多くなりました。
子どもたちには、本番は誰が何をやるかわからないことを伝えて、楽しみにしたり、やる気を出したりして本番をむかえるのですが、保護者の方が期待してしまい力が入るのです。
これは、ここ数年の傾向です。
新聞紙で、兜かなにかを作って持ち帰ったときだったでしょうか、その子の作品の新聞紙が死亡蘭のページだったことに、激怒された保護者もいらっしゃいました。
配慮不足でしたが、正直驚きました。
・待遇
保育士の仕事は、ある意味肉体労働です。昔は45歳が定年だったのだと聞いています。
今は60歳になり、希望すれば最高65歳まで働くことが出来ます。
しかし、実際問題50歳も過ぎた体で0歳、1歳とおんぶや抱っこで体はボロボロ悲鳴をあげている毎日です。
しかし、体は老いぼれてもやはりベテランの安心感があって、若者のフレッシュさや元気なパワーで調和がとれるのではないかと思います。
うちの園の給料が、50歳で昇給がストップし2年据え置きその後は毎年下がっていくというシステムです。
基本給が下がるので賞与も当然下がります。
他の園のことはわかりませんが、かなりモチベーションは下がります。
・楽しかった給食室
給食も保育のうちだよ。
と園長先生はよくおっしゃっていました。
保育が楽しくなってきていたころ、来年はあんなこと、こんなことやってみたいと思い描いていた矢先の人事で、給食室の配属になり泣きました。
しかし、やってみるとなかなか楽しく、子どもたちの様子を見ながら次の月の献立を作成したり、行事食を考えたりと、どんどんやりがいを感じて取り組むことが出来ました。
給食室からは、保育室が良く見えて、様々な声、子どもの声、泣く声、先生の怒っている声、笑っている声今まで見えていなかったものがよく見えました。
全国的に、保育園の給食者は怖い!と言われています。
とよく言われますが保育をしている先生方との意見の食い違いからそう言われるのかもしれませんが、私は楽しかったし、園長先生がおっしゃっていた「給食も保育のうちだよ」という意味がわかったような気がしました。