20年近くの前の話ですが私は高校卒業後、地元の調剤薬局会社に新卒で入社しました。
調剤薬局がメインの会社ですが、ショッピングセンターや飲食店なども経営しており、私の希望は調剤事務でしたがなぜか店舗販売員としての採用になっていました。
若干18歳、世間知らずのまま入社した私に一人の女性が上司につきました。
その女性は40代後半で独身、黒髪ロングヘアをなびかせた人でした。
彼女の言われるがまま洋服店の販売員としてスタートしましたが、当時の私は調剤事務希望を伝えていたにもかかわらず、まして全然興味のない服店の販売をさせられていることに悶々とし、入社1日目にしてやめたいと思ったほどでした。
またその女性の気の強さに圧倒される日々を過ごすことになりました。
十代の私にとっては40代後半独身女性が恐怖でしかなかったのです。
しかし私のお局様はこの上司ひとりではなかったのです。
あるとき販売ではなく調剤希望だと言うことを再度勇気を持って話した事もあり、調剤部へ異動になりましたが事務の仕事は足りているので隣の化粧品販売にいってほしいと言われてしまいました。
そこにはまた一人の女性上司が存在していました。
その女性は全身ハイブランドを着飾った40代の人妻女性で、化粧品販売員ならではの厚化粧女性です。
当時の私は化粧っ気がなく化粧品も全く解らないまま配属され、この上司には「こんな化粧気のない子を販売員にしていいのか?」と周りに言っていたほどです。
私も興味ないのにと思いながらこの女性上司につき化粧品を一から学ぶことになりました。
たくさんの化粧品を目にし、興味がなかったものから少し使ってみたいなと思うようになりました。
しかし販売と商品を覚える事の疲れがピークになり毎日毎日が憂鬱で休みの日は家でぼーっとすることしか出来なくなりました。
両親から心配されて退職しなさいと言われ続ける日々でしたが、「辞めたい」と上司に伝える勇気をなかなもてずにだらだら3ヶ月ほど働きました。
この頃には周りの調剤部の先輩たちにいい人たちが多く、お昼を一緒に食べたり話しかけてくれたりして若い私のことをとても気を遣って頂きました。
まだまだ世間知らずの私は大人の世界に入ったばかりでたくさん迷惑や気遣いがなく先輩たちの優しさに甘えてばっかりだったと思います。
二人の女性上司には相変わらずきつい言葉をかけられることは多かったですが、それは私ひとりだけでなく他の新入社員にも同じでした。
同期は6名いましたが、それぞれ違う販売員をしていて一緒に仕事をすることはなかったものの、愚痴りあいや会話を楽しむ仲のいい同期たちに恵まれました。
化粧品販売として3ヶ月ほどたった頃、一人の女性が現れました。
その女性は社長の愛人と言われている方でした。
愛人なのに堂々としている!
と思っていたのですが、社長は離婚していて内縁の妻とのことでした。
その女性は化粧品を買いに来たとのことでしたが、私を見て「あーこの子か」と言ったのを覚えています。
どういう意味でかは謎ですが、当時の私にはこの女性も気の強さが滲み出ていると感じとりました。
その後ちょくちょく顔を見ることになり、この女性も経営に関与していることを後に知りますが、3人の女性上司はそれぞれ自分の意見を通したい、意見が合わないことが多く影では対立している関係だったのです。
こんな3人に囲まれて今まで働いてきたんだと思った私はこれ以上この会社には居られない、会社への不信感しかなく退職を決意したのです。
就職して半年後でした。
また求人票には社会保険完備と記載してあったにも関わらず結局は未加入のまま退職となりました。
会社経営も厳しい状態だったのでしょうけど社員を守れない、上司同士が連係がとれない会社は大きくなれないと思います。
その後も次々同期6名全員退職しました。
退職報告を最初の女性上司にした際、「あ、そうなの分かった。」だけでした。
やはり必要とされていなかったのか、あっさりした報告完了です。
20年近くたった今でも思い出します。
それくらい人生の社会経験として焼き付いているのでしょう。
この会社で得られたものは同期の友人と、若干18歳の社会勉強、化粧品に多少詳しくなったことです。
同期は今でも連絡をとっています。
昔の話は今はしなくなりましたが、若かったねと思うことは多々あります。
社会勉強をさせてもらったこの会社には今となってはありがたい経験でした。
その後すぐ違うサービス業の事務職についた私はこの経験があったから、相手の気持ちやお客様の対応がスムーズにできたことを実感させられました。
会社への不満はまず自分を棚上げしていることが必ずあるということ。
でも退職はマイナスではない、プラスへ向かう為のステップアップの退職はいいことだと伝えたいです。
再就職先は11年続きました。
紆余曲折ありましたが長く勤めることが出来たのはその会社のあり方・待遇・自分の向上心が常に保てる環境だったからでした。