・入社に至る経緯
私が新卒で入社した会社の話です。
4年制大学の工学部を卒業後、地方の某大手自動車販売会社へ営業職として入社しました。
その地方では有数の大手企業と呼ばれており、社員数もグループ会社を含めると2000人近くいる会社でした。
口コミでは、給与が他社比較でよく、名も通っているので間違いないとのことでしたので、そこを鵜吞みにして入社を決めました。
・入社して1年目
入社して一番初めの部署は本社の書類管理部門でした。
新入りはほぼ全てここに配属になり、自動車販売のノウハウや書類のイロハを叩き込む場でもある為、皆気持ちを引き締めて仕事に取り組んでいました。
かくいう私も毎日緊張しながらも仕事に挑んでいました。
そうこうしているうちに1年が経過しました。
残業は殆どなく、休日も消化できていたので、それなりに楽しい社会人生活を送っていました。
この状態がこのままずっと続けばいいなと思っていました。
しかし現実はそうではありませんでした。
・突然の辞令、そして直面する現実
「○○君、来週から■■店へ異動ね、宜しく!」
突然、部長から言い渡された一言。
いきなりの辞令を受け、急いで引っ越しの準備を進めました。
この間、会社からの協力等は一切なし。
住まいの紹介あっせんもなく、仕方なしに自力で段取りを摂りました。
そして、新店舗への配属初日。
通常より30分早く出社してみたら、既に仕事が始まっていました。
違和感を覚えながらも店長へ挨拶。
店長「君が○○君か。まあ宜しく。」
それだけで、後は教育担当の先輩営業が手取り足取り教えてくれるとのこと。
そして始業時間となったとたん、怒号が飛び交いました。
「営業全員、ミーティングルーム集合!」
「サービス全員、工場集合!」
「はい!!!」
まるで軍隊。
あっけにとられながらも営業職の私はミーティングルームへ。
そして朝一の営業会議が行われたのですが、まあひどい。
何が酷いかって、会議というより魔女狩りでした。
前日までの営業実績と当日の活動内容を営業一人一人がマネージャーに口頭で報告するのですが、そこで店長からの喝が飛ぶのです。
何を言っても怒られます。
あらを探られ、それこそ重箱の隅をつつくような気持ち悪い内容。
一人当たり30分位でしょうか、これを営業全員が終わるまでただじっと待つ。
これがたまらなく苦痛でした。
聞いているのも苦痛でしたが、今後はこの罵声を自分自身で受け止めなければならないと思うと目が回りそうでした。
何だかんだ営業会議が終わったのは11時30分でした。
解放されたのち、直ちに営業マンたちは自身の車に乗り込み訪問活動。
私は先輩と共に軒並みで活動をしていました。
お昼ごはんは食べられず、というか営業マンはお昼は殆ど食べる時間も余裕もないと後から聞き、仕方なしに活動を繰り返し、帰社後は日報を書き、マネージャーへ報告。
この時点で時刻は19時。
既定の退社時間を1時間オーバーです。
でも残業代なんて出ません。
みなし残業という名の搾取システムで、営業スタッフは雀の涙の残業代しか受け取れません。
マネージャーへ報告後は基本的には各々の判断で退社してもよいのですが、暗黙のルールで店長をお見送りしてからでないと帰ることができないのです。
そして店長が会社を出るのは22~23時。
それまで営業スタッフは書類整理や掃除などをし、時折店長に呼ばれ説教を受けながら、ただひたすら時間が経過するのを待ちます。
結局、初日に退社した時間は22時40分でした。
帰り際に先輩が一言
「明日から朝は7時集合ね」
吐き気がしました。
そんな会社員生活を10年近く経験しました。
・それでも続けた理由
今考えれば理不尽極まりない事だらけでした。
年間休日は1年目よりかなり減り、まともに休めるのは月に1、2日くらいでした。
深夜に店長から電話がかかってくることもざらでした。
中にはこの環境に耐えられず辞めていく社員も多々おりました。
当時は働き方改革や労基などのキーワードが存在しなかったというのもありますが、それを差し引いても劣悪な環境でした。
それでも私がこのブラック企業に残った理由はただ一つ。
給与面でした。
営業職はインセンティブが基本給に加給されるのですが、このインセンティブが物凄く高かったのです。
勿論、営業実績にもよりますが、年間通して平らにすれば、毎月の給与は物凄い金額でした。
同年代の会社員では恐らくかなりの上位にあげられると思います。
正直、私の精神状態も相当きつかったです。
ストレスで顔が紫色にかわったり、意味もなくハムスターを飼い繁殖させたのち虐待したり、最後は無意識のうちに新幹線で小倉まで行っていました。
・最後に
結局、私は自身のメンタル面と本当にやりたいことを考慮し退職しました。
今現在もその会社はその地方では幅を利かせており、毎年多くの無知な学生達が門を叩くそうです。
個人的には、色々勉強にはなりましたが、二度とお世話になりたくありません。
ですが、もしガンガン稼ぎたい、四面楚歌でどうしても金が必要という方なら、やってみてもいいのではと思います。