・割と若い世代が多くてびっくり!
私が20代のころおはぎの製造工場にて期間限定で働いたことがあるんです。
その時感じたことはおはぎって若い世代の方はあまり作ろうと思わないのではないかという考えがあったんですが、私が働いていた工場では若い世代の方々が半分を占めていまして10代の方も働いていたのでびっくりしました。
何故、若い世代の方が多く働いていたかですが、当時コミックスでお菓子職人のコミックが流行したので和菓子であるおはぎに注目が集まったらしいです。
ちなみに私の働いていた工場では若い人が30人でそれ以外の方が40人程度の規模の工場でした。
その上で仕事内容は流れ作業ではなく自らおはぎを丸めて製造するというタイプの工場だったため、熟練された職人さんのような方が多い職場です。
きついという印象は無く理由付きでダメ出しを受けるため、お菓子職人を目指せるのではないかと錯覚を覚えたことがあります。
・工場と言う割にはラインが無い
私が過去に働いた工場ではラインと言って決められた役割だけを行うというのが当たり前でした。
人手が不足してもそのラインを埋めるために他のラインの人が頑張れと言うのが当たり前であると考えていたのです。
私が働いていたところはそうではなく、人数が足りなくなったら足りている所から応援を送り技術を身につけて帰ってくるというスタイルだったんです。
どうやって綺麗におはぎを丸めるかなどの他、やっていはいけないモチ米の炊き方を学んでおはぎがべちゃべちゃにならないようにする技術を得ると言う物でした。
こうした技術も熟練された監督官がおり、その方から指導を受けたのち現場を任されるというやり方です。
若い人でも、もち米を任される人物という方もおり、最も人数を必要とする丸め作業の他、米を潰す作業を任されるという方もいました。
当時おはぎを必要とするお彼岸が重なってましてそれと同時にコミックでのお菓子の人気も相まってとてもじゃないですが人数が足りない状況下だったんです。
しかもご年配の方は指導官として作業を自らも行いますが、モチ米が炊ける間ずっと番をするのも難しいのでそうした方の代理を出来るよう、急遽若い世代の方も従業員と同じ作業を行わせようと会議で決まったわけです。
その会議については、急遽若い世代を育てますということが公表されましたので間違いないはずです。
・難しいのは丸める作業とお米を潰す作業
おはぎを製造する上で最も私が難しいと感じたのは丸めともち米を潰す作業です。
これは食感に関わりますので潰しすぎた場合食感が悪くなり粒を残しすぎるとムラになります。
潰したものを丸めるのも難しく、丸めるもち米は冷えすぎてもダメになる為温度管理も難しいのです。
冷えすぎるともち米は硬くなり丸めにくくなるうえこれも食感に影響します。
こうしたことは年配の監督官がきちんと理由付きで説明したのち実際に冷えたコメとそうではないコメを見せて実践するというような環境でしたので、見ればこれはダメなモチ米だと分るよう訓練を受けました。
これが期間限定のおはぎ製造工場で働く人物が得てよい知識なのかなという混乱もありましたが、要は流れ作業で製造していたものはどうしても品質より量で勝負する傾向らしく、量より質で勝負する私が働いていた工場では、それくらいしないと品質が維持できないということで、品質重視の工場で働いていたのだと思います。
なお、監督官もこのおはぎがどこのおはぎとして売られるかについては知らないらしく、監督官が言うにはどこでどの会社で売られていようと良い製品を作ればそれでよいじゃないという考えの方でしたので、私もその意見に賛同し期間を終えるまで仕事を受け持ちました。
・残念だったのが技術を得ても工場に残れなかったこと
唯一この工場で働かせてもらって残念だったことは技術を得ても工場に残りアルバイトや社員などと言う形で仕事をすることが出来なかったことです。
ただ、これについては仕方がない部分もありました。
一つは大企業ではない為現在いる従業員を優先せねばならない点があること。
おはぎの需要は一時的であるという点もあり、期間を終えるとそれまでだったということです。
ただ、この経験で得られたことについてはお菓子作りにも応用できるため、将来的に趣味などで和菓子を作ることになれば生かされる経験だと感じます。
特にモチ米に関してはおはぎだけではなくその他のお菓子の心臓部になる為学んだことは無駄ではないと言えます。