初めての短期バイトをしました
会社員のとき、夏季休暇が10日以上あったので、アルバイトをすることにしました。
短期のバイトなので、候補が少なく、家からは通勤するのに1時間以上かかる場所でしたが、車通勤がOKだった「食パン工場のアルバイト」に決めました。
電話をすると、すぐに面接に来てくださいとのこと。
少し緊張しつつ、面接を受けました。
採用が決まり、働くことになりました。
食パン工場で働く
その工場のパンは、子供のころから食べており、愛着を感じていました。
その会社のトラックも、町中で見かけることも多く、工場について初めて見たのが、そのトラックで、妙に安心しました。
アルバイトは全員で100人以上はいたと思います。
何でも、夏季期間はお盆があるので、おはぎ等の饅頭が特によく売れるとのこと。
その他にも、わらびもち、水羊羹が主力商品として、売れるそうです。
私たちバイトは色々な人がいました。
今回、初めて応募した人。
毎回応募している人。
夏季だけじゃなく、冬季にも応募している人。
様々です。中でも、優秀と認められると、次回からお誘いの電話が会社からかかってくるそうです。
私も、短期とはいえ働くからには、優秀な人を目指してバイトに励もうと思いました。
バイトの内容は、すごく簡単なものでした。
ベルトコンベアーから流れてくるものを、決められた場所に入れる。
ただそれだけです。
しかし、実際に行ってみると、想像よりはるかに大変なのです。
何人もの人が、ある間隔をあけ、同じことをするのは実は難しいのです。
1番最初の人は、箱を置くだけなので簡単です。
次の人も、まだ何も入っていないから容易に入れられます。
しかし、後ろのほうは、饅頭が段々詰まってきている中に入れるので、コツがいります。
というのも、皆さん自分の入れるべきスペースから若干ずれているのです。
少しのずれも最後のほうには、かなりずれており、自分の饅頭を入れるスペースが本当に狭いのです。
でも、なんとか入れます。
安心する間はありません。
箱は、一定の間隔で延々と流れてきます。
基本的にトイレに行くことも禁止されていました。
緊急の場合は、コンベアーを止めて、トイレに行くことが出来るのですが、みんな我慢して作業を続けました。
1時間ぶっ通しで働くと、クタクタになります。
休憩時間
休憩所でお昼ご飯を食べます(私の勤務は朝9時から夕方5時でした)最初のころは疲れすぎて、お弁当を食べるのがやっとでした。
でも、慣れてくると友達もでき、みんなで楽しくおしゃべりをして時間を過ごしました。
休憩所にはその工場で作られたパンが安い値段で買うことが出来るので、後半は弁当は持っていかず、パンですませました。
みんなで話す内容といえば、仕事の愚痴がほとんどでした。
私の周りの人はみんな今回が初めての応募で、皆口々に「こんなに大変なバイトとは、びっくりした」と言っていました。
もちろん私も同感です。
楽しい休憩はすぐに終わり、昼からの勤務が始まります。
ピンチが起こりました
その日の午後は、おはぎのレーンが担当でした。
機械から出て来たおはぎを、手で軽く握り、手作り感を出します。
その前に、手袋をして、両腕をバケツに入ったアルコールに入れ、消毒を行うのですが、私は腕を入れた瞬間、手がひりひりして、焼けるような感覚になりました。
友達に話すと「あそこの水道で手を洗ってくれば」と。私以外は皆、問題なかったようです。
私はコソコソと手を洗い、事なきを得ました。
今、思うと不衛生で、そのような商品を売っているなんて信じられません。
働いているときは私語厳禁なのですが、慣れてくると、当たり前のように話しながら作業をしていました。
当時はマスクもしていません。
社員がたまに、見回りに来ますが、注意されることもありませんでした。
おはぎは、後半になると乾いてきます。
すると、社員が見て「このおはぎ、元気ないな」とアルコールを吹きかけるのです。
ギョッとしましたが、確かにアルコールの吹きかけられたおはぎは、美味しそうに見えるのです。
もちろん、体に悪いものではありません。
でも、小さなおはぎには、考えられない位の、アルコールをかけられます。
きっと、どこの工場でも同じようなものでしょう。
そうしなければ、食中毒を出してしまうからです。
アルバイトを終えて
私は無事にアルバイトを終え、報酬をもらいました。
4万ぐらいあり、その後に行った韓国旅行でブランド物の財布を買いました。
残念ながら、優秀とは認められず、電話はかかってきませんでした。
もし、かかってきても、2度とあのアルバイトはしません。
とにかく不衛生なのです。
機械自体がとても古くて、ベルトコンベアーは何年使っているのか分らないほど、汚れていました。
清掃を行うこともなく、何かと言えば、「アルコールをかけとけ」で終わりです。
私はあれ以来、あの食パン工場の商品は、購入していません。
友達にも買わないように言っています。