私が大学を卒業して最初に就職した会社はブラック企業でした。
ここでそもそもブラック企業のブラックとは?
私の経験上、厳しい納期とノルマ、更に同調圧力とパワハラ、そして慣例化した毎月約100時間サービス残業の長時間労働にもかかわらず手取りで20万程度の安月給低賃金が基本と思われます。
ホワイトはその逆です。
それでは実際に、そのブラック企業で働いていた時の体験談を以下に記載していきたいと思います。
先ず職業は電気機器製造業の会社の会社員で、社名は〇〇電機(株)と言い当時社員約千人売り上げで200億程度の戦前からある地元では優良と呼ばれていた企業でした。
当時その会社は国内最大手であるH製作所の子会社だったので、社長以下の部長クラスまでH製作所の使えない天下りの人たちが出向されてくるような会社でした。
そのため、地元採用の生え抜きは課長クラスまで昇格すれば良い方で、私もそのコースで採用されました。
そもそも私は首都圏の有名私立大学を卒業したので、普通なら大手企業に就職するのが一般的だったにもかかわらず地元に拘ったのは、実家が鉄工場兼業農家だったためで、私が跡取りの長男だったためですが、振り返れば、この地元に拘ったのも失敗要因の一つだったと言わざるを得ません。
働いていた時の年齢は22~31歳、勤続年数は10年で既に退職済みです。
当時の収入は、毎月手取り約20万と夏と年末賞与が各30万で合計年収は概ね300万円でした。
そして勤続10年間、給与は殆ど変わりませんでした。
その理由は会社業績が悪化していたと言うのが主な原因と言う会社側の言い訳説明でした。
本当は最初から単に払う気がないのに無理やり低賃金で雇っただけで、その罠にはまったのだと今では思っています。
私の性格は、当時まだ若く基本的に生真面目で責任感が強かった若者でした。
今にして思えば、その生真面目さや責任感の強さを狡い企業側にある意味で騙されて、上手く利用されてしまったのだと現在では深く反省しています。
次に業務内容は、電気機器製造業の開発設計業務でした。
大学が電気工学科だったこともあり、主に電気機器の開発や設計に従事していました。
良かったことは、会社の慣習で新卒は原則3年間は会社の寮で過ごしていたので、会社の同期や同僚は仲が良くて、いい人たちばかりだったことです。
実家も近くだったので本当は実家から通勤しても良かったのですが、安い別荘のようで居心地がよくて、結局、6年間もブラック企業で無駄に我慢して居座ってしまいました。
楽しかったことは、会社の同期や同僚たちとあちこち出掛けて楽しい20代を送ることが出来ました。
つらかったことは、やってもやっても次から次へと入って来る新規案件と減らない膨大な仕事量と兎に角迅速に難解な新しい電気機器が欲しいと言う顧客からの厳しい納期でした。
辞めたくなったことは、概ね3年周期でやってきましたが、その理由が、元々、ギリギリの開発メンバーで仕事を回しているのに、3年周期で同僚や先輩や後輩が退職してしまうため、その後の補充があるまでの間、少ない人数で膨大な減らない開発業務をこなさなければならないため、辞めたくなる程に追い込まれる仕事状況に追い込まれることが繰り返されていたので、ブラック環境の無限ループ状態になっていました。
そして、私も3度目のやめたくなった時に転職先を決めて、10年間お世話になった会社を辞めました。
ブラックな所は、先述の通りの長時間サービス残業と低賃金でした。
ホワイトな所は、会社の仲間たちがいい人ばかりだったことです。
向いている人は、上司や取引先に何て言われても自分のペースを崩さないことが出来る精神的に強くて図太い人です。
ですが、そんな方はなかなか居ないと思います。
退職のきっかけは、不条理できつい労働環境のため、信頼していた後輩や先輩たちが次々と辞めていき、それらのやり残した仕事が全て私に転換されたことです。
転職のきっかけは、たまたま始めたネットの転職サイトで条件の良い会社を見つけたことです。
転職先は競合の大手企業の開発に転職して、長時間労働は同じでしたが、残業代は全てもらえて、代休や休暇も増加したので、結果として収入増加で休みも増えて、ブラックからややホワイト寄りに改善することが出来ました。
次の仕事との比較は、最初の内は先述の通り、当たり前なのですが残業代100%出て、休暇も増えて、転職前の会社とは雲泥の差でしたが、そんな良いことは続きませんでした。
段々と転職前の会社の様になり、20年後、最終的には同じ様な結末になりました。
同じ様な結末とは、実は転職前の会社も転職後の今の会社も外資に売却されてしまい、賃金が下がり、労働環境は悪化の一途でリストラに怯える毎日を送っていて、低成長の日本に居る以上、競争の激しい電気機器業界には良いことはないようです。
その他、得られるスキルとしては電気電子制御技術の向上になります。
人間関係は日本の会社は基本的に年功序列なので、日本に居る限り同じ会社に長くいた方が確実に良いのは確かです。
メリットを無理やりでも見つけるとすれば「ブラック企業を実際に体験」できたことです。
デメリットは、ブラック企業で無駄な時間を費やしてしまったことで、メリットに対して二律背反になります。
環境としては、同僚がいい人ばかりで案外居心地は良かったです。
待遇は低賃金と長時間サービス残業で会社から得るものとしては最悪で非常にセコイ会社だったと記憶しています。
最後に日本に居る限り、日本国内の組織体制は大きく変わらない文化なので、世界と競争しなければならない業界に入ると勝てないので、その様な業界に入ることは避けて、比較的国に守られている業界トップ企業か大手商社や公務員が良いのは、今も昔も不変で日本では変わらない状況です。
でも上手く行かない人は、それらを受け入れ分かっていて、覚悟して敢えて茨の道を進むのもありなのかもしれませんが、ご自身で決断をお願いします。
以上、最後まで読んで下さった皆さまのご健闘をお祈りいたします。
ありがとうございました。