学校・保育・教育の体験談

田舎のブラック公立中学校に勤めた体験談

投稿日:2021年9月14日 更新日:

田舎のブラック公立中学校に勤めるまで

大学を卒業して都内の私立中高一貫校で10年ほど教師を勤めた。

主人の転勤で東北の地方都市に転居しました。

1年ほどは主婦として過ごしていたのですが生活に物足りなさを感じ地元の公立中学校の講師を勤めることになりました。

いわゆる、正規の採用ではありませんが、講師には常勤講師と非常勤講師があり、非常勤講師は時給制で労働時間当たりの賃金で週に2~3日の勤務であるのに対して、常勤講師は給与は多少安く1年ごとの契約ではあるものの、正規の教員と一緒の労働時間で同じ労働をするため、生徒や保護者からは普通の教員として見られていると思います。

初めての公立中学校勤務でやる気も満々で臨んだのですが、あまりのブラックさに、2年ほど勤務してから辞めて、その後は私立の高校に採用されて現在も教員をしています。

 

ブラックすぎる労働時間

副担任で部活も副顧問となり、公立学校での教員生活がスタートしました。

まず驚いたのが労働時間の長さです。

朝は毎日部活の朝練があるため、6時半に家を出て、7時には出勤していました。

6時半ごろに出勤している先生もいるようでした。

朝練の後は朝の会、授業、給食、授業と続き、休む間もなく部活に突入します。

授業は1日当たり平均4~5時間、空いている時間は副担任をしているクラスの生徒全員分の連絡ノートに目を通し、コメント記入です。

空き時間に教材研究なんてしている時間はありません。

10年間の私立で教えた経験から、教え方に関しては経験の蓄積があったのでそれで乗り越えました。

授業が終わると帰りの会、すぐに部活が18時まで、夏の間は17時までありました。

その後,職員室に戻って行事や委員会活動の準備、教室の掲示物などの準備、回収物の整理、学年や教科の打合せです。

それが終わるの早くて20時、そこから翌日の授業の準備を軽くできる日もあります。

何かトラブルがあったり個別の生徒について情報共有があった場合は一息つくのが21時を過ぎる日もよくありました。

ざっと見て平均的な労働時間は1日当たり14時間といったところです。

行事の前などは23時、24時まで学校にほとんどの先生が残っている日もありました。

ちなみに最長だと翌日の2時までいたことがあります。

子どもがいる女性の先生はみな祖父母などと同居していて食事や子どもの面倒は見てもらっていて男性の先生は子供と話すのは週に数回という方もざらにいました。

我が家は平日は毎晩宅食を注文してしのぎました。

土曜か日曜は必ず部活、もしくは両日とも部活で1か月の休みが2日という月もざらでした。

労働時間が長いのがあたりまえの慣習

長い労働時間とますます増える仕事の量に対してすべての先生が不満を持ってはいるようでしたがそれを改善しようという雰囲気は全くありませんでした。

時間管理に対する先生方の認識の甘さを感じました。

その最たるものがお茶時間です。

部活が終わって職員室に帰ると学年ごとのお茶係が学年の先生にお茶を入れてみんなで出し合ったお金で購入したお菓子を食べながらその日あったことなどをざっと30分くらい話します。

情報交換という名の仕事ではありますが雰囲気は仕事でなく完全に雑談です。

そこにその情報が必要かどうかの選択はなくだらだらと時間が過ぎていきます。

また、学年での会議となるとまずお茶を入れてお菓子を配ります。

そして下手な司会によるだらだらとした長い会議。

半分くらい雑談となる会議もあります。

1日に数回出現するお茶タイムがなくなればどれだけ仕事がはかどるか。

そして、それを生徒に還元できるかと思います。

 

校長のずれた感覚

とにかく偉そうに話す校長だったのも驚きでした。

断定的に自分は神様だと思っているような話っぷりで、初めは冗談かと思いました。

体育祭の前には生徒も教員も1日に何時間も炎天下で過ごします。

生徒の日焼け止めクリームの使用の禁止もよく意味が分からなかったのですが、教員が日焼け止めを塗ったり、日焼けしないアンダーウェアで日差しをしのいでいたところ、翌日から禁止を言い渡されました。

紫外線アレルギーのある先生は異議を申し立てて診断書を提出して許可をもらっていましたが、それに素直に従う先生たち。

公立はそういうものなのか、この地域がそういうものなのか、どちらかわかりませんでしたが校長が言ったことは絶対というのは先生方の共通認識でした。

 

地獄の職員旅行

年度末に教職員全員で旅行をする習慣がありました。

全員が強制参加ということは気になりましたが、以前勤めていた学校でも学年旅行や職員旅行はあり、のんびりもできてとても楽しかったので期待して参加しました。

地獄の第一歩は夜の宴会で管理職や主任の先生にお酌をしてまわり、その後ありがたいお話を聞くということを女性は全員やることになっていて、食事をする時間がなかったことでした。

校長は20分ほど話し、そのあいだずっと相槌を打ち続けました。

結局,お刺身を数切れ食べて最後のアイスを食べたのみ。

その後、そのまま全員参加の2次会となり拒否する人は一人もおらず、当然自分も拒否できません。

温泉旅館なのにお風呂も入れず、2次会が終わったのが夜23時。

ストレス満載の旅行になりました。

 

わが目を疑う慣習の数々

体育祭の前日にその年に勤め始めた教員による400メートル全力疾走のリレーをさせられたり、雪の日に校長の車を洗車させられたり、林間学校で2泊3日、バーベキューや登山で汗だくになりながらも入浴する時間を与えられずに過ごしたり、驚きの慣習や体験をたくさんしました。

教員による教員同士の仲間外れやいじめもあり、辞めていった先生もいました。

ブラックさに異論や愚痴を唱える先生がいても、改善しようとする先生はおらず、改善しようとすると異物扱いされました。

この地域のどこの公立中学校でもそのようなものだということも分かったので長くやる仕事ではないと感じ、私立高校に採用されて、結局公立中学校は2年で退職しました。

現在も高校勤めの教員をしています。

学校はブラックだと言われ続けていますが、中学校の先生の勤務状況は今も変わらないようです。

組織が大きすぎて、問題がありすぎて、誰かが本当にやる気にならないと何も変わらない気がします。

染まらないうちに、疑問も感じることがなくなるくらい慣れてしまわないうちに、辞めて本当に良かったと思います。

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